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2004.06.08

「アベラシオン」

篠田真由美 講談社

舞台はイタリア。
日本人留学生セリは遊びで訪れたヴェネチアで殺人事件を目撃してしまう。
後日、その場に居合わせた関係者から北イタリアにある城への招待を受ける。
その城は聖天使宮と呼ばれ巨大な正五角形の建造物の中には未曾有の美術品と一族の謎の歴史が隠されていた。
城にいるのは、招待者である美貌の当主アベーレ・セラフィーノ、異母弟で車椅子に乗った天使のようなジェンティーレ。先代のころから毎年訪れているという不気味な4人の客たち。
セリは美術品や城の各所を見せてもらううちに、連続殺人事件に巻き込まれてしまう。

読み始めてまず鬱陶しかったのが、美術に関する描写と薀蓄。
出てくる美術品の量が半端ではないのに毎回披露される解説にはいささか疲れた。
が、ものすごい城を舞台にちりばめられた謎を解くことはある意味TVゲームのようで、扉の鍵を開けるシーンでは「バイオハザード」(プレイステーション)を思い浮かべてしまう。
我ながらその想像には笑ってしまうが、ゾンビこそ出てこないが近い雰囲気はあるのではないかな~。
最終的な謎解きもミステリというよりTVゲームに近いような・・・・もごもご・・。
城の仕掛けや一族の血脈など、途中から薀蓄が気にならなくなるほどおもしろかった。

セリは「建築探偵シリーズ」に出てくる教授の姪なので(あちらの作品にも名前だけは出てきたと思う)、日本に帰ることがあったらぜひアベーレも一緒に連れてきて京介や蒼と会ってほしいものです。

アベラシオン

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