『夏と花火と私の死体』
乙一 集英社文庫
兄妹と一緒に遊んでいた「私」は突き落とされ死んだ。
兄妹は「私」の死体を隠すが、見つかりそうになり隠し場所を変えていく・・・・・。
幼い兄妹が友達の死体を隠すさまを死体となった「私」の一人称で淡々と語られていく。
不気味なようでいてどこか情緒的な雰囲気を醸し出している。
いつ見つかるかのぎりぎりの緊張感、見つかってしまったときのすべてを諦めた脱力感。しかしそのあとにまだ続くこれぞホラーのオチ。
背筋が寒くなるというのはこういうのを言うのだと思う。
同時収録の『優子』のほうは、人間と人形の区別がつかない悲劇の話。
こちらはありがちな話かと思う。
もっとも『夏と花火と私の死体』のほうも、ものめずらしい設定ではないが、乙一ならではの仕上がりになっていると思う。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント