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2005.08.31

『灰色の北壁』

真保裕一 講談社 2005.3刊

冬山をテーマにした「黒部の羆(ひぐま)」「灰色の北壁」「雪の慰霊碑」の3編を収録。

・「黒部の羆(ひぐま)」
因縁のある2人で登攀中1人が滑落。ロープで宙吊りになったまま天候は悪化して救助もすぐには来ない。そんなとき因縁の元になったことの真相を聞かされ・・・・。

・「灰色の北壁」
ヒマラヤの北壁を単独登頂したクライマーに本当に登頂できたのか疑惑がかかる。
証明するのは山頂から写した一枚の写真のみ。しかし、その写真が過去に初登頂したクライマーのものと同じではないかと。
単独登頂したクライマーと過去に初登頂したクライマーの間に何があったのか。写真の真相は?
単独登頂したクライマーが別の山の登攀中に死亡したことによって真相の解明が始まる・・・・。

・「雪の慰霊碑」
冬山で命を落とした息子の命日に、父親が同じ山を登る。初心者の父親には単独の冬山登山は無謀でまるで死にに行くようなものだった・・・・。

うーん・・・・。『ホワイトアウト』のようなハラハラドキドキを期待して読んだのだけど全然違いました。
山をテーマにしたヒューマンドラマでしょうか。
ハラハラではなくホッとしたい人向き。

「黒部の羆(ひぐま)」はありがちな話だし、「灰色の北壁」は疑惑はよくできていると思うけれど盛り上がりに欠ける。
写真の疑惑なんて気付いたときに本人に直接言えばいいじゃん。遠回しにするからこじれるんだよ。・・・・・なんて登場人物の気持ちを全然理解できなかったのでイライラ。
もっと書き込んでほしかった。

「雪の慰霊碑」は心情がきちんと出ていてよかった。
しかしタイトルにもう一工夫ほしいような・・・・。

3編がどこかリンクしていればまた違った面白さがあったかもしれない。

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2005.08.28

『暗夜鬼譚 剣散華(前編)』

瀬川貴次 集英社コバルト文庫

一条は賀茂の斎院・馨にもらった神宝を手に菅原道真の怨霊と対峙するが・・・・・。

まったく歯が立たず。

あっけな・・・・・。

ダーク夏樹(=菅原道真)は相変わらず滝夜叉姫といちゃこら。
夏樹の意識ってものはカケラもないんかいっ?
内面の葛藤とかってないの~?
主役がダークサイドに堕ちたまま一言もなく2巻分って・・・・・・。
これを補うべき一条の心理描写が足らない。

夏樹と一条がしっかり立ってないと、帝とあおえのボケた掛け合いもただむなしいだけ・・・・・。

辻のあやこの正体がわかったけれどだから何っ?
この人がキーになるんだったらもっとむなしい・・・・・。

結局、前巻からなんの進展も無し。

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2005.08.25

『ルパンの消息』

横山秀夫 カッパノベルススペシャル

15年前、三億円事件が時効を迎えた日に起きた女教師の自殺が実は殺人事件だとたれ込みがあった。
時効まで24時間。当時高校生だった3人の事情聴取が始まる。
3人が計画実行したのは「ルパン作戦」と名付けた試験問題を盗むことで殺人とは関係のないことのようだった。
1人は当時の様子を淡々と語り、1人は顔見知りの刑事相手にわめく、そしてもう1人は焦点の合わない眼のまま黙り続ける。
3人(実質2人)の供述を元に事件関係者が警察に集められていく・・・・・。

それぞれにそれぞれの思いがあり、偶然と必然と周りの人々の思いが複雑に絡まり、真相は二転三転する。

ほとんどが高校時代に遡っての話のため文体が若くライトノベル感覚で読める。
深夜の学校に侵入して事件問題を盗むなんてちょっとワクワクしちゃったり。

おバカな高校生3人組とうさんくさい教師像はいかにもマンガ的でありながら、横山秀夫らしいリアルっぽい(ホントのところは知らないし)警察の描写もあるので、横山秀夫を手軽に読んでみたい人にはいいのでは?

三億円事件も少し絡んでいるものの、まあ、私としてはどうでもいいかな。

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2005.08.23

『灼眼のシャナ9』

高橋弥七郎 電撃文庫

悠二への恋心を自覚しつつあるシャナ。
だが、シャナの育ての親ヴェルヘルミナは、悠二の存在はフレイムヘイズであるシャナのためにならないと考え悠二を殺そうとする。
そんな時、悠二は吉田さんに遊園地へ誘われる・・・・・。

突然帰ってきた悠二の父親・勘太郎がわけわからんすごい人。
母親・千草もなにげにすごい人だと思うけどそれ以上。
この夫婦ってもしかしてすごいキーパーソンなのでは??

巻が進むにつれシャナと悠二がイジイジしてきて嫌気がさしてた今日この頃。(^_^;)
電撃文庫自体そういう主役が多いので最近遠ざかっていたのだけれど、息子に「今回のは大丈夫だと思う!」とそそのかされチャレンジ。

息子よ、さすが母の好みをよくわかっている・・・・。(-_-;)

悠二の父親・勘太郎。
この人がいればまだまだ読めるぞ!

またどこか単身赴任先へ行ってしまったけれど、ぜひぜひ次巻も出てきてくださいっ!
勘太郎が出てれば読む。

  

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2005.08.22

『すべてのものをひとつの夜が待つ』

篠田真由美 カッパノベルス

莫大な財産の相続者を選ぶため5組10人が集められた。
相続の条件は巨大な館の中から大粒のダイヤモンドを見つけること。
孤島の巨大な館は窓をふさがれた牢獄のような館だった・・・・・・。

サバイバルホラーもどきの館ミステリ風、ってところでしょうか。
文体が男子大学生の軽いしゃべりになっているので勢いで読めちゃうけど読後感は物足りない。
つまらなくはないんだけど。

相続の候補者たちは次々と殺されたり行方不明になったりするわけだけど、気になるキャラクターがさくっと死んじゃったり、実はあの時すでに殺されてました、なんてやられちゃうと・・・・・。
せめて死に様に花をもたせてやってくれよ。がくぅ・・・・。

サバイバルホラー初心者向き。

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2005.08.17

「ビー・バップ・ハイスクール2」

ドラマ的には面白くなかったなー。
今回は痛い暴力シーンが多過ぎてうんざり。

そんな中でも元の姿を知ってるだけにぶっ飛んでる菊リンは笑えた。
いや、睦くん、そんなことしていいんですか?(^_^;)
顔を出すだけで笑い始めるウチの息子をなんとかしてください。

マモレンジャーのところが面白かっただけに、菊永と前田がいなくなってからのつまらなさといったら・・・・はぁ。
暴力シーンももっと徹底的にマンガちっくだったらよかったのになぁ。

←パート1のほうがまし

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2005.08.07

せみ

毎年のことなんですけどね、すんごいんですよ、セミが。
たいして大きくもない、たった一本の木に見えるだけで60匹・・・・・。(-_-;)

いや、私ゃ数えませんよ。
もうね、木の幹見るだけで気持ち悪くてとてもじゃないけど数えるなんてできませんて。
まるでカサブタのように・・・・うっ!ぞぞぞぞ・・・・・(>_<)

でもってかなりの騒音被害を受けてるわけで。
一日中「シャーーーーーーーーーーーー」
かとおもえば網戸にへばりついて「ミーーーーンミンミンミン・・・じじじじじっっっ」
瀕死なのかビチッバチッ!と壁にぶつかるやつら。

ううううううううっうるさーーーーーーいいいいいいっっっ!!!!!!

その上買い物に出ようとすれば襲ってくるしっ!
飛び回ってるセミっつーのもどうかと思うよ。

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2005.08.03

『にゃんこ亭のレシピ2』

椹野道流(ふしの・みちる) 講談社X文庫ホワイトハート

ゴータとサトルのレストランで手伝いを始めるコギ。
初めての田植え、初めての銀杏村のお盆を体験する三人・・・・。

不思議な村のお盆はやっぱり不思議だった!
本当にこんなことになったらすごいなーと思う。けど、毎年ずっときちんとお迎えしていたらこんなこともあるのかな~なんても思ってみたり。

お盆の前に読むといい一冊。

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2005.08.01

『トリニティ・ブラッド Canon 神学大全』

吉田直/角川スニーカー文庫編集部

“ガンスリンガー”トレスくんが主役の短編を二編と、吉田氏が急逝したため未完になってしまった『トリニティ・ブラッドVII ROM~極光の牙~』の序章を収録。

この序章から新たな壮絶な展開が始まることがわかり、序章のみで終わってしまったことは本当に残念です。

そして、設定資料や構想メモを元にして書かれなかった物語を解説してくれているが、これがすごい。
小説だけ読めばいいやと思っていたのは大間違い!
まさかこんなにものすごい話しだったなんて・・・・・!

最初からずっとわからなかったクルースニクがなんなのか、やっとわかった。
ナノマシンとは?なぜ限定起動なのか?
いつも飄々としているアベル・ナイトロード神父がこんなワケありだったとは・・・・。

また、最初に目にするイラスト(THORES柴本さん)には今後展開されるはずだったシーンが描かれていて・・・・・・衝撃的・・・。

ちょっと毛色の変わった吸血鬼モノくらいに思っていた『トリニティ・ブラッド』がものすごい壮大な物語だったことがわかり、驚きであり感嘆であり、そしてやはり未完になってしまったことがなによりも惜しまれます。

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