『灰色の北壁』
真保裕一 講談社 2005.3刊
冬山をテーマにした「黒部の羆(ひぐま)」「灰色の北壁」「雪の慰霊碑」の3編を収録。
・「黒部の羆(ひぐま)」
因縁のある2人で登攀中1人が滑落。ロープで宙吊りになったまま天候は悪化して救助もすぐには来ない。そんなとき因縁の元になったことの真相を聞かされ・・・・。
・「灰色の北壁」
ヒマラヤの北壁を単独登頂したクライマーに本当に登頂できたのか疑惑がかかる。
証明するのは山頂から写した一枚の写真のみ。しかし、その写真が過去に初登頂したクライマーのものと同じではないかと。
単独登頂したクライマーと過去に初登頂したクライマーの間に何があったのか。写真の真相は?
単独登頂したクライマーが別の山の登攀中に死亡したことによって真相の解明が始まる・・・・。
・「雪の慰霊碑」
冬山で命を落とした息子の命日に、父親が同じ山を登る。初心者の父親には単独の冬山登山は無謀でまるで死にに行くようなものだった・・・・。
うーん・・・・。『ホワイトアウト』のようなハラハラドキドキを期待して読んだのだけど全然違いました。
山をテーマにしたヒューマンドラマでしょうか。
ハラハラではなくホッとしたい人向き。
「黒部の羆(ひぐま)」はありがちな話だし、「灰色の北壁」は疑惑はよくできていると思うけれど盛り上がりに欠ける。
写真の疑惑なんて気付いたときに本人に直接言えばいいじゃん。遠回しにするからこじれるんだよ。・・・・・なんて登場人物の気持ちを全然理解できなかったのでイライラ。
もっと書き込んでほしかった。
「雪の慰霊碑」は心情がきちんと出ていてよかった。
しかしタイトルにもう一工夫ほしいような・・・・。
3編がどこかリンクしていればまた違った面白さがあったかもしれない。
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